この男性は、
タクシー運転手さんです。
仕事をしていて日中は
大丈夫だったが、
夕方頃から左遠位頸腓関節に
痛みが出始めた。
歩行時に体重が掛かると痛む。
足首を捻った訳ではないのに、
なぜ痛くなったのか?
まず、いつものように
両足を触診すると
左足第五中足骨の外側に
硬さが出ていた。
場所的に前鋸筋が怪しい。
前鋸筋が張っていると
なると、肩を巻き込んだ
可能性が高い。
左肩を巻き込んだ際、
左前鋸筋が緊張して
尚且つ左鎖骨の動きが
悪くなったのかなと思った。
まずは、左前鋸筋の
緊張を緩めてみた。
しかし、左腰や臀部の
緊張は多少緩んだものの
肝心の左遠位頸腓関節は
全く緩んでいない。
つまり、前鋸筋の緊張は
直接的に関与していない
ということになる。
ならば、左膝関節に
直接アプローチして
みることにした。
しかしこれも、
思うように緩んでこない。
時間が刻一刻と進む
ばかりで、真の原因に
辿り着けないので
少し焦ってきた。
ここでもう一度、
足を触診してみた。
先ほどの左第五中足骨
外側の緊張は無くなり、
左内側楔状骨に硬さが
出ていた。
あれ?
ということは
左烏口腕筋が緊張
しているっぽい。
確認すると、やはり
左烏口腕筋に緊張が
出ている。
仕事中に張るような
動きはないと思うので、
考えられるのは
寝ている時に左腕が
変な位置になっていた
と思われる。
その時に、左烏口腕筋
だけでなく、左前鋸筋
も一緒に緊張してしまった
のだろう。
烏口腕筋が張ると
同側の薄筋が張るのだが、
今回左遠位頸腓関節に
痛みが出たのは、この
男性の仕事が大いに
関係しました。
それは、タクシーが
オートマ車であるために、
左脚は仕事中動かさない
からです。
仕事中、左脚を屈曲した
状態のまま動かさずに
長時間座っているので
元々左股関節が詰まり
やすい方でした。
今回、そこへ薄筋の
緊張が加わったことで、
左大腿部が内転する
状態が続いてしまったのです。
これにより、
左膝関節がズレるような
状態が続いてしまい、
左頸腓関節の動きが
悪くなってしまったのです。
左烏口腕筋を緩めると、
左大腿部や左膝関節に
出ていた緊張が緩み、
左頸腓関節も一緒に
緩んできた。
烏口腕筋は目立たない
小さな筋肉だが、
その影響力は大きい。
見落としている治療家も
多いと思うので、
意識して診て欲しい。